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音楽の値段を考えてみるリターンズ (えせけいざいがくちっく)

by ナカムラ | 2003.07.12 23:07:54 | コメント (2)

音楽配信メモの津田さんの本『だからWinMXはやめられない』の感想を書くつもりだったんですが、「他の人と同じ感想じゃつまんないなぁ」とか考えてたら、おかしな方向に行ってしまいました・・・。駄文ですから、あまりまじめに読まないでください(;´Д`)

発端は「(本の主人公=彼が)MXで価値のあるファイルを得るためには、自分も価値のあるファイルを共有しておかなければならない」と気づいたことにあります。この本では、彼が共有ファイル=動画のクオリティを上げたりなどの努力をしていくうちにいろいろな人と出会っていく・・・みたいなお話になってますが、私の視点は「価値のあるファイルを入手するために」「彼が自分の共有ファイルに対して行ったこと」にあります。

とりあえず、ここから先の説明を簡単にするために、勝手に{レア度}という指標を決めます(本当の経済学にはちゃんとした用語があるのかもしれませんが、その辺はご容赦を)。

{レア度} = {需要} / {供給量}

この{レア度}はそのまんま価格・価値を決める要素になります(比例係数?)。なお、{供給量}は字のとおりですが、{需要}については注意が必要!この{需要}を決める要素には「注目度」や「クオリティ」、「目新しさ」なんてのも当然含まれますが、「レア度」そのものも{需要}を決める要素になっています(だから、あるものの価値がバブル的に上昇する、ということもあります)。

さて、MXの彼は何をしたか、ということになります。前述のとおり、彼は自分の共有ファイルのクオリティを極限まで(?)上げることによってファイルの「注目度」を上げていますが、それだけでなく「人気のアニメについて」それを行っている、という点に注意です(誰も見ないアニメに対してそれを行っても無意味)。さらに、供給量を極限まで制限することによって{レア度}を高め、共有ファイルの価値を高めているのです。

だからこそ彼は自分の作ったファイルの配布について配布先に対して釘をさしてますし(自分のファイルの価値が下がってしまう)、少なくともこの本中には「自分の作った高クオリティファイルを気前よくあげる」人はいないわけです。


というわけで、MXの中の価値観が“えせけいざいがくちっく”に説明できちゃったので、現実の音楽産業もこのリクツで説明できないか、遊んでみることに。

MXの世界では「自分の欲しいファイル分だけ価値があればいい」わけですが、現実の音楽産業では、それで飯を食わなければなりません。しかし、大金を稼ぐためには先の式が大問題となります。

まず、単純に{供給量}大きくをしてしまうと、{レア度}が下がり、価格が下がってしまいます。では、レア度を高めようとするとこれが難しい問題で、{需要}を決める1要素である「クオリティ」の評価には実際には非常に時間がかかってしまうこと、また、{供給量}を極端に減らすと、今度は絶対的に稼げない、ということに。

そこで音楽業界はどのように稼ぐことを考えたか、説明していきます。まず、プロモーション等によりレコード発売前に「注目度」を極限まで上昇させます、その上で発売日当日を迎えるわけですが、発売直後は消費者全体には商品はほとんど浸透していないので高い価値のまま販売が可能。発売から時間がたってしまうと{レア度}が急速に下がりますので、初期の短期間で大量に売り切ってしまうことが必要です。

そんなわけで、バブル期の音楽マーケットの特徴である「メガヒットが連発」「発売直後しか売れない」こと(の一側面)を説明しちゃったわけです。ではなぜ今売れてないのか、といえば「注目度」の極限が小さくなってしまったこともあるでしょうし、同じようなバンドばかり売りつけることによって消費者に「既視感」(「目新しさ」の逆数かな?)が生じたこともあるでしょう。クオリティの低さは言うまでもないです。おっと、CCCDである事が「注目度」を下げている、という側面もあります(笑)


さて、今後P2Pが普及すると、ソフトウェアに関しては{供給量}をコントロールすることが絶望的に不可能になります。もちろん、P2Pの普及を阻害することなんて絶望的に無理なので、「同じ売り方をしてたら(=MX厨と同じ思考回路だったら)」破綻するのは目に見えてる、ということに。ただ、実際のコンテンツ産業の儲け方と言えばこの関係で全て説明できてしまったりするので、「じゃあ対案はあるのか?」と言われるとこれがなかなか難しい問題だったりするわけです(それがわかってりゃこのサイトで金儲けできててもおかしくないわな・・・)。

コメント

僕の場合は、聴きたい音源の多くが、
市場価値が極限に下がってしまっているため、
音源を封印しちゃっている、というケースも多いのですが、
それはそれで切ないですね。

by: | 2003.07.15 01:45:24

市場価値ってのが必ずしも曲のクオリティだけでは決まらないというのが面白いというか、切ないところではありますね。

果たして好きな音楽を好きなように聴ける時代はやってくるのか・・・。

by: ナカムラ | 2003.07.17 02:44:16
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